催眠、催眠状態とは

催眠、催眠状態って何?

催眠、催眠状態っていったい何なのでしょう??

催眠というのは、物(物体)でもなく知識や知能や精神でもなく、人間の心のある特定の状態ではあるわけですが、実のところ、明確な定義というのは存在しません。 敢えて言うなら、催眠の定義は、その専門家の数だけあると言っても過言ではありません。 それはそもそも結局は、良く分からない、ということかもしれませんが、そうしたことは良くあるものです。

例えば、「直角三角形」の定義、とかいうのでしたら明確にはっきりとあるわけです。ですが、一方、「恋愛」の定義となると、「恋い慕うこと」なのかもしれませんが、その意味、もっとかみ砕いて表現すると、次第にあいまいに、百人百様の言葉になってくるでしょう。

「催眠」もそうしたもので、統一的な定義というものはありませんし、専門家がそれぞれかみ砕いて言い表す言葉も随分と専門家によって異なっているものなのです。
ですが、「催眠」というものはあります。 それは「恋愛」というものがあるのと同様です。 そして「催眠」に関して言えば、セラピーに使えるツールなのです。  厳密な定義は仮にないとしても、催眠はあります。 そしてセラピーにとってはとても優れたツールなのです。 それは使わない手はないというものです。 現に、古代のエジプトでも使われていたとするなら、なおさらです。

催眠状態は体の状態ではなく心の状態

さて、先ほど、催眠状態とは、「心」のある特定の状態だと言いました。逆に言えば、体の状態ではない、ということです。
よく、催眠状態ではアルファー波が(脳で)出ている、と言われています。
確かにセラピーに適した脳波の状態はアルファー波だと言われています。
ですが、アルファー波が(脳で)出てる状態が催眠状態の定義ではありません。

そうしたことは単に「体」のある特定の状態に過ぎません。

脳波が何ヘルツであれば、その時、催眠状態にある、とか、脳の中のセロトニンの量とか濃度がどのくらいであれば、それは催眠状態だ、などという表現では、催眠状態を言い表すことはできません。

催眠状態というのは、そうした「体の」ある特定の状態で表現されるものではなく、「心の」ある特定の状態で言い表されていることです。

人間だって突き詰めれば物質だと見なしている方々には相容れない話かもしれませんが、そうした意味では、そういう方は催眠療法には向いていない、ということが言えるかもしれません。 人間の体は物質でできてはいますが、人間の心は突き詰めても決して物質ではない、とセラピストは通常考えていますので。(もしかすると例外はいるかもしれませんが。)

また時として、要するに催眠状態というのは、変性意識状態の事です、なんて素人さんから聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。 ですが、それは催眠状態のことを言い表しているわけでは全くありません。 確かに催眠状態では意識は変性意識状態にはなってはいますが、そもそも変性意識という言葉は総称です。 変性意識でも、どういう変性意識かを示さなければ、決して催眠状態を言い表していることにはなりません。

例えばトランス状態は確かに一種の変性意識状態といえ、気絶したり、(顕在)意識を失ってボーッと、まるで幻覚でも見てるような、覚醒剤でも飲んでるような状態ですが、これではどう控え目に見ても、セラピーには向きませんし、通常、こうした状態までも催眠状態とは呼びません。もともと「トランス」には、死ぬような、ぞっとする不安感や恐怖、の意味合いも含まれています。ですので通常、トランスという言葉を催眠の意味で使うことはありません。

もっとも、20世紀のとりわけ優れた催眠療法家として知られるミルトン・エリクソンは例外的に、催眠(状態)の意味で、よくこのトランスという言葉を使ってはいた感はあります。 ですが、彼が使うトランスの意味に、その言葉の語源が意味する「大きな不安」や「恐れ」というニュアンスはありません。 一般には、トランスという言葉にはどこか怪しげなイメージがついています。

専門家それぞれが異なった表現で催眠(状態)の定義をしているとは言っても、それらはすべて間違っているわけでもなく、催眠というものがないことの証明だというわけではありません。

それぞれの専門家の定義にはある共通項があって、「変性意識」の他にも、「顕在意識」と「潜在意識」、それに「被暗示性」に関して触れられていることです。

私なりに催眠状態の定義をごく短い言葉で端的に表現するならば、それは、「顕在意識と潜在意識が同時に働いている目覚めた意識状態」ということになります。

逆に、専門家には決して触れられていない催眠状態の共通項は、「無抵抗」とか「あやつられる」、「感情や記憶などが支配される」、「意志の弱さ」、「秘密を暴かれる」、「笑われる」、等々です。

これからもお分かりのように、催眠のテクニックは決して、人を何らかのその気にさせたり、支配して、ある特定方向に向かわせる技術ではありません。 従って、何か良からぬ意図で催眠をかける相手を操って何かをさせようと考えたところで、それが現実になることはありません。 催眠は洗脳とかではないのです。

催眠状態といえども、「顕在意識」はしっかりと働いているのです。催眠状態だからと言って、決して本人の、いわゆる意識を失ってるわけではないのです。

相手にはすべてが自覚されているのです。この意味はお分かりですね。

そして実際に、世の中では、たとえば、催眠で操られて、意識を失ったりして、あるいは記憶を支配されたり操られて、何のその自覚もないままに、人に怪我を負わすとか、どこかに盗みに入らされたとか、万引きをさせられたとか、わいせつ行為をさせられたとか、犯罪に巻き込まれて事件になった等々、という報告等がただの一件もニュースで取り上げられたことがないのは、あなたもご存じだと思います。(バラエティー番組は別ですよ。)

それは、催眠では人を操ることができないからです。

ある時、私の元に、催眠療法の施術を受けに来たクライアントさんに、いつものように、こうした催眠の話をしました。その方はある法廷に勤務している方でしたが、それを聞いて強く肯定して、「そう言えば、判例でも一件もないですね」、と首を強く縦に振ってうなずいてました。

これが(少なくとも)日本における現実なのです。

さて、催眠状態というのはどういう状態なのかということを説明してきましたが、途中から、催眠状態というのはどういう状態ではないのか、という話にもなってきてしまいました。

本当は前者だけを話して、すんなり理解していただけると、それに越したことはないのですが、それだけではどうしても、どういう状態ではないのかの説明には必ずしもならないので、ある意味余談ではありましたが、敢えて後者の話もせざるを得ないわけでした。

で、話を本筋に戻しますが、先ほど私は、催眠状態というのは、「顕在意識と潜在意識が同時に働いている目覚めた意識状態」であると言いました。

ではその時、体はどういう状態になって自覚されているのでしょうか? これは種々様々あるかもしれませんが、セラピーに適した催眠状態では、は眠っているような状態にあります。そして(顕在)意識はその状態をその時、自覚はしていますが、起きてる時と同じように(顕在)意識も目覚めてますので、眠っているというふうには通常は感じません。 また、(顕在)意識がその時、催眠状態にあるという意識があるというわけでもありません。

もう一度繰り返しますが、催眠状態では、あくまでも、体としては眠ってる状態と区別がつくわけではありません。 ですが、意識状態が眠っている時とは違うのです。 ここが催眠療法が他の療法では成し得ない療法として成り立つ所以です。

もう一度言います。 身体そのものは眠っている状態と変わりありません。 ですが、眠っている時と異なる点は、顕在意識も目覚めている点です。 ですので、意識としては眠っている感覚はありません。

この状態で顕在意識が受け取った事はそのまま潜在意識へと伝わるわけなのです。 眠っている状態では、そもそも顕在意識は何も受け取ることができませんので、潜在意識にも何も伝えること、アクセスすることはできないのです。 また、普段、(普通に)起きている状態では、潜在意識がそもそも眠っているため、いくら顕在意識に伝えたところで、それが潜在意識へと伝わる道理はありません。 他のカウンセリングやセラピーが無意識的にも、潜在意識を事実上蚊帳の外に置いてる所以です。

さて、催眠状態では、従って、外から、当人の顕在意識に言葉などを投げかけてアクセスすることは、起きてる時と同じように可能で、そうすることによって、それをそのまま潜在意識にまで伝達させることができるわけです。

こうした技術を用いることで、潜在意識にアクセスして、その力を活用してセラピーを行うのが催眠療法、というわけです。

繰り返しますが、その時、体としては眠っているような状態になってますが、顕在意識は起きている時と同じように働いていますので、眠っているという意識はありません。強いて言えば、リラックスしている時のような体の感覚がある、といったところでしょうかね。この辺の感じ方は個人差があります。

個人差があるとは言っても、そこに何か恐怖心のような落ち着けないような状態だと感じる人は、普通はいません。 全くいないわけではないにしても、恐怖心を感じる人は、はじめから、そのつもりで来ている人くらいなものでしょう。 例外的な人、と言う人は、どこにでもいるものです。 「トランス」という言葉には、死ぬような、ぞっとする不安感や恐怖、の意味合いも多分に含まれているため、これまで説明してきたような催眠状態のことを「トランス」と呼ぶのが、いかに不適切なのかは、おのずとお分かりかと思います。

さて、こうして述べてくると、催眠状態というのは特殊な状態で、余程の事でもない限り、人間を催眠状態に誘導することなんてできないように受け取られたかもしれません。

確かに催眠状態というのは自らの意思だけで簡単に入れる状態ではないかもしれませんし、もし、ただの一度も催眠状態になったこともない人を催眠状態に誘導することなら、それは極めて困難なことかもしれません。

ですが、こう言うと驚かれるかもしれませんが、人間は誰でも、日常的に、意識していないだけで、気づかないうちに実のところ、こうした催眠(状態)に入っているものなのです。 ですので、誰にとっても催眠状態は決して未知なものではありません。 誰でも、気づいてないだけで、日常的に催眠に入ってるわけですから、それゆえ、そもそも人間には催眠状態という特殊な状態に入れる素地はそもそも持っているわけなのです。

では、日常のどういう時がそういう時なのでしょうか? 日常的に、はたしてどういう状態の時、人は知らず知らずのうちに催眠状態に入っているものなのでしょうか? それは決して特別な人だけではなくて、ほんとうに誰にでも起きているようなことなのでしょうか??

人間は誰でも、夜(とは限らないかもしれませんが)、寝ます。完全に眠ってしまえば、それはもちろん、催眠(さいみん)状態ではなくて、睡眠(すいみん)状態といいますが、完全に眠ってしまう少し前の状態、眠りに入る直前の安らかな状態、これは実は催眠状態なのです。 同じ状態は朝起きるときにも現れています。(顕在)意識が目覚めて目を開ける直前の状態、これは(セラピーには)最適な催眠状態なのです。 人間は実は、誰でもこのように日常的にしっかりと催眠状態に入っているのです。

また、映画などを観て、それに没頭して、まるで自分がその映画の中の場面を一緒に体験しているかのような一体感を味わっているような状態の時も催眠状態に入っている状態と言えます。 あるいは音楽等を聴いて、我を忘れて、その中にのめり込んで音楽と一体感を感じているような時も、催眠状態に入っている、といえるでしょう。

ただ、誰もこうした状態の時、自分が催眠状態に入っているんだという自覚はありませんし、そんなことは考えたこともないだけです。

自覚はないだけのことで、人間は誰でもこのように、日常的に催眠状態に入っている、というのが現実に起きていることなのです。

ところで、実のところ、催眠状態に入っても、このように自分が催眠状態に入っているなんていう自覚は普通ないものです。これは催眠誘導によって催眠状態に入った場合でも同様です。

普段、催眠状態に入っているときに、自分が催眠状態に入っているという感覚がないわけですから、普段ではなく他者の誘導によって催眠状態に入った場合だって、自分が催眠状態に入っているという感覚がないのは全く当然のことなのはお分かりでしょう。

人はよく、催眠を解いた後、「催眠に入っている感覚はなかった」と言いますが、そもそも日常的に催眠に入っているときに、そうした感覚がないのですから、それは当たり前のことなのです。それは疑問でもなんでもないことなのです。 自分が催眠に入っていた感覚がないことを問題視することが、どれだけ理にかなわない疑問なのか、お分かりでしょうか??

(念のため補足しておきますが、催眠状態に入らなかった場合でも当然、催眠に入っていた感覚はもちろんありませんよ。)

話を戻しますが、催眠状態はこのように、誰にとっても決して未知のものなんかではなかったわけです。 ただ、じゃあ、その馴染のあるはずの催眠状態に入ってください、と言われたからといって、その状態に自ら入れるというわけではないだけのことなのです。

自ら、意識的には、たいていの人は催眠状態に入れるというわけではありませんが、普通誰でも実は日常的に経験している状態、催眠状態には、実はこうした一面もあったのです。

そして、日常的にほんとうは経験しているからこそ、その状態に入ることは、本当はぜんぜん不可能でもなんでもない、それが催眠状態という状態だったのです。

さらに言えば、こうした状態は、毎日、わざわざ意図して入っているわけではありません。もし、意図して入れているのでしたら、その人は意図すれば、自分が催眠状態になりたいときに自ら意図して催眠状態になれるのかもしれません。 ですが、あなたはきっとそうではないでしょう。

あるいはまた、毎日(ではないにしても)、意図して眠りにつくときに催眠状態に入っていることを自覚しようとしている人たちもいるかもしれません。 ですが、たいていは、その自覚は得られることなく、いつの間にか眠りについていることでしょう。

これは朝の目覚めの場面でも同様です。(顕在)意識(だけ)が目覚める前、催眠状態にいる時にそのことを自覚しようと思っても、それは得られないことでしょう。

それだけ、催眠状態とは微妙ともいえる状態なのかもしれません。

そうした何とも感覚的にはなかなか捉えられない微妙とも言える催眠状態に入れるテクニックが催眠誘導なわけです。

一度こうした他者からの催眠誘導で催眠状態に入れた方は次に受ける時には、最初の時より催眠に入りやすくなっているものです。

ただし、同じ催眠誘導を行っても、人によって催眠状態の個人差が比較的大きいのも催眠の一つの特徴かもしれません。

人によっては、わずか5秒くらいで催眠状態に深く入って行って、前世の記憶をいくつも思い出してくる人だって実際にいます。 事実です。 別に10万人に一人とか1万人に一人とかいった割合ではなく、100人に1人とか2人とかの割合でですよ。

まあ、概ね20%の方々は催眠に入りやすく、こうした方々なら、たとえ未熟な催眠療法士の誘導だったとしても、催眠に入れるくらいの人たちです。

ですので、未熟な催眠療法士、と申しますか、誰がやっても効果が現れるとか、前世が本当に見えてくる、なんていう体質(心質)の方は実際に、ある一定割合では存在しています。

なので、そうした経験を一度でも持つと、自分はほんとうに催眠療法や前世療法ができるヒプノセラピストなんだと、錯覚される施術者は世の中には少なからずいるかもしれません。 ホームページ作って、表面的な事柄だけもっともらしいことを書いたとしても、一般の人は判定できませんし。

実際、催眠に入っていても、催眠に入っているという感覚がないのは真実ですので、催眠にろくに誘導出来ない施術者でも、いくらでもごまかしようがあるといえばあるわけです。

当サイトを良く読んで、ニセモノを見分ける目を少しでも養っていただければ幸いです。(表面的な理解では見分けられませんよ。)

一方ではどうしても催眠に入っていけない人も中にはいるものです。 理由はさまざまで一様ではない感はありますが。 概ね数パーセントの方は入っていけないようです。 こればかりは実際に施術をしてみるまでは何とも断定はできないところなのです。 概ねは予想はつきますが、予想が外れることもありますので。

予想が外れる場合ですが、これはどっちの方向もあります。 つまり、この人はちゃんと催眠に入れる人だと思っても何故か予想外に入れなかったり、また逆に、この人はちょっと入れそうもないと思ってもちゃんと入れる場合もあるのです。

あくまでこうした予想は、セラピスト個人(この場合は私)の主観による予想ですが、予想が思いがけずに外れる時もあるという事実は、こうした予想を(セラピスト側が)よりどころとしてはいけない、というシグナルと言えます。

また、例外もあります。

たまーに、心身が疲労困憊した状態で来る方もいます。 ごく稀にこうした方も来ます。 催眠中、眠いのを我慢して眠らないようにしていると、それではとてもリラックスもできませんので、催眠に入っていくことはできません。 一生懸命我慢してるその顕在意識だけが活動してる状態では、そこに潜在意識が活動できる余地がそもそもなくなってしまうからです。

また、それ以上に多い例外もあります。 時折、クライアントさんで、自分は特別な存在なんだという強い自負がある方がいらっしゃいます。それが、意志の強い性格の裏の面の現れなら問題はありませんが、そうではない場合は得てして、自分を催眠にかけて操れると思ったら大間違いなのよ、という場違いなプライドの高さだったりする方がいます。(自覚はまったくないようですが。) 別に催眠は操るために使うわけでは決してないのですけれどもね。

そうした方の場合、・・・