デタラメ催眠療法例

とても催眠療法とは言えないものが催眠療法として行われているのは巷ではよくあるようですが、そんな例を示してみます。

一応、誘導の後、

セラピスト :さあ、その扉を開けて、外に出て見てください。 さあ、そこには草原が広がっています。 さあ、今あなたの見てる先に何か動物が遠くに見えてます。 それはどんな動物ですか? 鳥とか空を飛んでる動物ですか? それとも、シマウマとかキリンですか?

クライアント :うーん、もっと小さな動物みたいです。

セラピスト :何て鳴いてますか?

クライアント :ニャー、でしょうかね・・・

セラピスト :一人で孤独なんでしょうね。寂しそうな顔してる猫ですね?

クライアント :いえ、そばに犬といっしょにいるようです。

セラピスト :その猫にちょっと聞いてみてください。 今、どんな友達が欲しいですかって。

クライアント :はい、・・・でも・・・、それは猫じゃなくて、ヒョウかなにかの赤ちゃんかもしれませんし、ちょっと怖いです。

セラピスト :心配いりません。噛みついたりしませんよー。大丈夫ですよー。

クライアント :そうですか、わかりました・・・

セラピスト :さあ、どんな友達が欲しいって言ってましたか?

クライアント :何も答えてくれませんでした。

セラピスト :そうでしたか。 普段からもっと心を開くようにした方が良いかもしれませんね。 では、そこで空を見てみましょう。 大きな鷹が飛んできました。 その鷹はオスでしょうか? メスでしたか?

クライアント :さあ、どっちでしょうねえ? わかりません。

セラピスト :さあ、良くみてみましょう。どっちでした??

クライアント :どっちでしょうねえ??

セラピスト :私が聞いてるんです。

クライアント :私には分からないんです。

セラピスト :もっと心を開かないとダメですねえ。

クライアント :・・・・・・。

セラピスト :さあ、今、西の方から竜巻がやってきています。 あなたを助けてくれるのは何でしょうか?

クライアント :何もないかもしれませんねえ・・・

セラピスト :今、鷹が竜巻で吹き上げられました。 と思ったら突然、鷹は姿を変えました。 それは何の姿でしょう?

クライアント :うーーーーーん、スズメですかね。 (知るかよ!)

セラピスト :スズメというのは、あなたにとって、どういう鳥ですか?

クライアント :どういう鳥って?? どういうって??

セラピスト :つまり、小さくて可愛いとか、身近にいて親しみがあるとか、竜巻なんかには負けない鳥とか、何か大切なメッセージを持ってきてくれる鳥とか、いつも身近にはいるけど好きになれない鳥とか、あとは・・・、

クライアント :そうですねえ、身近にはいるかもしれないけど、何の役にも立ってくれない鳥ですかね・・・、(ふうっ)

セラピスト :そのスズメは今、竜巻の中でどうしてます?

クライアント :ぜんぜん見えなくなってしまってるので、さっぱり分かりません。

セラピスト :あなたはそのスズメを今、どうやって助けようとしていますか?

クライアント :(どうやってって言われてもねえ・・・ 助けるような関係じゃないしねえ・・・)
そうですねえ、魔法でもかけて、一瞬竜巻を止めて、その間に助けてきますかね・・・ (まさか)

セラピスト :それはすばらしいアイデアですね。 きっとスズメも喜んでくれることでしょう。
では、さっそくやってみてください。

クライアント :んーーーーーーーーーーーーーーー、竜巻よ、止まれ!

セラピスト :どうですか? 助けに行けそうですか?

クライアント :行けるかもしれません。

セラピスト :そうですか、では行って見て下さい。

クライアント :・・・、えーと、どこにいるのかな・・・
なかなか見つかりませんねぇ。

セラピスト :さあ、今そこで、見つかるまで探せますか? 自分の命を投げ打ってしっかりスズメを助けることができますか??

クライアント :いやー、命と引き換えには、ちょっとできませんねぇ。

セラピスト :今、竜巻が再び起きてきました。 さあ、あなたはどうしますか?

クライアント :いやー、それは逃げるしかありませんね。

セラピスト :あなたはいつも、本気度が足りないようです。 あなたはせっかく良いアイデアは持ってるのに残念ですね。 いつも仕事は手を抜かないでやってると、さっき仰ってましたけど、どうやらちょっと違って、ほんとうは、人にはそうアピールしているだけで、手抜きは実際には見抜かれているようです。手を抜いていては、せっかく良いアイデアあっても活かすことができません。

クライアント :言われてみると、そうかもしれません。

セラピスト :さあ、今あなたは竜巻に巻き込まれて空中に上昇して行っています。 今、どんな気分ですか?

クライアント :うーーん、なかなかこうして見ると、竜巻の中も悪くはないかもしれませんね。 なんか体がスッキリしてくるような気がします。

セラピスト :それは良かったです。 他には何かあなたの他にも巻き込まれてるものはありますか? よーく注意して見てみてください。

クライアント :あ、何かあそこにいますね・・・

セラピスト :それは生き物ですか? それとも何かの物体ですか?

クライアント :ここは、草原でしたよねぇ・・・、だとすると動物ですかね・・・

セラピスト :さあ、どんな動物でしょう?

クライアント :うーーーん、ちょっとよくは見えないですねぇ・・・

セラピスト :何て吠えてますか? その動物は??

クライアント :うーーん、どうやら吠えてる余裕さえないようですね。

セラピスト :どんな色をしてますか?

クライアント :土にまみれて黄土色ってとこですかね・・・

セラピスト :じゃ、今ここにホースがありますので、蛇口をひねって水を出して、その動物を洗ってあげてください。 さあ、このホースを持って・・・、勢いよく水を出して・・・、どうでした? どんな色でした?

クライアント :いや、水は出してるんですけど、竜巻の勢いが強すぎて、水はこっちに吹き飛ばされてくるだけです・・・

セラピスト :じゃあ、今度はこのホースでかけてください。 さっきの1万倍の勢いで水を出してくれますよ。

クライアント :わあ、これは凄い、竜巻自体が今度は吹き飛んで行きました・・・

セラピスト :さあ、それで、その動物はどんな色の動物でした?

クライアント :動物も水に吹き飛ばされて、見えなくなりましたね・・・

セラピスト :うーーん、どうもあなたは、何でも必要以上に相手を攻撃して、立ち直れないくらいダメージを与えているかもしれませんね。 会社で、職場ではどうですか? 知らず知らずのうちに敵を作っていたりしませんか? ちょっとしたことでムキになって、何でもない相手を攻撃していたりしませんか?

クライアント :うーーん、どうでしょうかねえ・・・  別に恨まれるようなことはしたことはありませんが、確かに、噛みついてくる人はいますね。

セラピスト :その人ですよ、その人! 今、竜巻が去った後、その草原で、その人を探してみて下さい。 その人は今、人間の姿ではなくて、動物の姿をしているかもしれません。 さあ、探してみて下さい。 その広い草原のどこかにきっといるはずです。

クライアント :でも、ここは、会社じゃないですから・・・

セラピスト :さあ、遠くの方を今じーーっと見つめて下さい。 今、何かかすかに動いているものがあります。 そっちの方に近づいて行ってください。急がなくて良いです。 ゆっくりでいいです。 焦らなくていいです。 相手は逃げては行きませんから。 徐々にでいいです。 そう、今、次第次第にはっきりと見えてきています。 さあ、それは何でした? その人ではありませんか? その人は今、どんな格好でそこにいますか? 人間の姿をしてますか? それとも、もしかすると、スズメの姿をしてますか? あるいは、サソリになって不死身の身体を手に入れてますか? さあ、もうそこに見えてきてますね??

クライアント :ラーメンです。 チャーシューが乗ってます。 とても美味そうです。 早く食べたいです。 食べても良いですか?

セラピスト :その人は食べ物になっていたのですか?

クライアント :そうですかね・・・

セラピスト :そのラーメンはあなたに何て語りかけてきていますか?

クライアント :ラーメンは今ただ、誰かに食べられるのを待ってるだけです。

セラピスト :そうでしたか。 では、まずそのラーメンに許可をもらってください。 これから私が、あなたを食べますが、良いでしょうか?、と。

クライアント :これから私が、あなたを食べますが、良いでしょうか?

セラピスト :さあ、ラーメンは何て答えました?

クライアント :よくも見殺しにしたなって恨んでいます。

セラピスト :あなたはいつも人の恨みを買うようなことをしていましたね?

クライアント :いいえ、そんなことはないつもりですが・・・

セラピスト :神様にはすべてがお見通しですよ。

クライアント :そう言われても・・・

セラピスト :まずはそのラーメンに深くお詫びをして、許しをえてください。

クライアント :ラーメンに許しを請うのですか??

セラピスト :神様はすべてをお見通しです。 そのラーメンに許しを請わない限り、あなたが会社で人からの恨みが止まることもありません。 さあ、あなたは今のままでいいのですか??

クライアント :そうですか、わかりました。 ラーメンさん、見殺しにして申し訳ありませんでした。 どうか見殺しにした私を許してください。

セラピスト :さあ、今度はラーメンは何て答えました?

クライアント :食べても良いと答えました。

セラピスト :ウソをついてはいけません。そんな表面的な謝罪で人が許してくれると思ったら大間違いです。

クライアント :あはは、ばれましたか。

セラピスト :あなたはどうやら普段からそうしたウソを平気でついて、何事も適当にごまかしてはいないでしょうか。

クライアント :まあ、その場その場に応じて対処の仕方はさまざまですね。 いちいちホントのこと正直に答えていたらこっちはやり込められるだけですからね。相手だってカマかけてきてますし、・・・・・・

セラピスト :さあ、それはそれとして、せめてここでは形だけでも良いですから、ちゃんとラーメンさんに謝ってください。たとえ元々はラーメンさんが悪かったとしても、今はそれは脇に置いておいて。 さあ、できますか?

クライアント :そうですか、何とかやってみます。 ラーメンさん、見殺しにして申し訳ありませんでした。 どうか見殺しにした私を許してください。

セラピスト :それじゃあ、さっきと変わりないじゃありませんか。 ちゃんと心を入れ替えてやってください。

クライアント :ラーメンさん、ラーメンさん、先ほどは見殺しにしてほんと申し訳ありませんでした。 今後もう二度とあのようなことは致しませんので、どうか見殺しにした私を許してください。

セラピスト :さあ、今度はどんな返事でしたか?

クライアント :そこにいる犬と戦って勝ったなら許してくれると言ってます。

セラピスト :ほんとですか? 戦うのは犬ですか?? そんな動物、そこにほんとうにいますか?? そこはどこでしたっけ?

クライアント :すみません。 ほんとうはライオンでした、ライオン。

セラピスト :さあ、どうしますか? ライオンと戦って許してもらいますね?

クライアント :えっ? 本当に戦わなければいけませんか?

セラピスト :ラーメンが食べれなくてもいいのですか? 飢え死にしてもほんといいのですか?

クライアント :わかりました。ライオンにラーメン取られてしまうのも癪ですので、ライオンと戦います。

セラピスト :さあ、では、頑張って! はっけよーい、残った。

クライアント :えっ? 相撲とるんですか??

セラピスト :別にプロレスでも、良いですよ。

クライアント :勝ちました。私がライオンに勝ちました。

セラピスト :えっ? どうやって勝ちました?

クライアント :魔法を使って勝ちました。

セラピスト :あなた、催眠療法に魔法を期待してはいませんか? 私の行う催眠療法は魔法じゃありませんからね。 世の中、そんなに甘くはありませんよ。

クライアント :えっ? 今度は魔法、ダメなんですか??

セラピスト :ずるはダメです。ずるは。

クライアント :でも、まともにライオンと戦って勝てるはずはないですから。

セラピスト :あなた、私をバカにしてませんか?

クライアント :いいえ、とんでもありません。

セラピスト :そうですか、では、東京に戻ってきてみてください。 はい、ひとーつ、ふたーつ、みっつ。 はい、今、普段働いている会社で仕事してます。 さあ、その中であなたの事を不愉快に感じている人が見えますね。

クライアント :はい、こいつとそいつとあいつ。

セラピスト :はい結構です。 では、その中に、さっきのライオンにどこか似てる人はいませんか?

クライアント :ええっ?? ・・・・・・、そうですねえ、そういえば、あいつですかね・・・

セラピスト :そうですよね。 では、どんなところが似てますか?